東京女子学園中学校高等学校(東京都港区)は、2023年4月より共学化し、芝国際中学校・高等学校(予定)として新たにスタートします。すでに受験生向け学校説明会も開催されていますが、どの回も満席と、注目を集めています。
5月10日に、教育関係者を対象とした説明会がありましたので、印象に残った特色3点を取り上げ、ご報告いたします。
- 校舎の中に”小さな地球”がある学校
- 最先端&世界標準の学び
- 変革を支える伝統の教育基盤
校舎の中に“小さな地球”がある学校
1点目の特色は、“国際”を校名に掲げたことにも表れている「グローバル教育」です。その中核をなすのが、インターナショナルスクールとの教育連携と、充実した海外研修・留学制度です。
インターナショナルスクールが同じ校舎内に移転
芝国際中学校・高等学校では現在、地上12階の新校舎を建設中です。その7〜10階テナントエリアに、ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス(以下、ローラス。https://laurus-school.com/ja/)がキャンパス移転予定です。同じ建物内に、国際色豊かな生徒が集まるインターナショナルスクールがある“グローバルな日常”は、「校舎の中に“小さな地球”がある学校」として、本校の魅力となりそうです。ローラス(中等部は2022年9月開校予定)とは、部活動や行事を共有していくことも予定されています。
ビジョンある海外研修・留学制度
海外研修旅行や留学制度は、国際理解教育に注力してきた東京女子学園中学校高等学校での実績を継承・発展させるようです。各研修・留学制度の目的を明確にした上で取り組むプログラムとなっています。
高校の修学旅行は、サンフランシスコ海外研修を予定。一流大学でのプレゼンテーションや、Apple、Googleといった大手IT企業見学など、将来への夢を育む内容のプログラムを準備中です。
また、中3と高1の希望者を対象とした3週間のオーストラリア・タスマニア語学研修では、ホームステイをしながら現地校で学びます。生徒それぞれに現地校の生徒がつき、授業や日常生活をサポートしてくれます。3週間で英語がペラペラになることをめざします。
この他に、高1・高2の希望者を対象とした、現地名門校で学ぶ3カ月海外留学などもあり、留学費用自己負担なしの特待生制度も用意。UPAA(※)も導入しており、海外大学への進学も積極的に支援されます。
※UPAA:海外協定大学推薦制度。アメリカとイギリスの海外協定大学共通の願書によって、最大で4大学まで同時に出願できる。国内と海外の大学の併願が可能。
最先端&世界標準の学び
2点目の特色は、「世界標準の学び」により、未来を生きる力を育む教育です。
「世界標準の学び」は、すでに多くの私学で実践されており、各校個性あるプログラムが学校選びのポイントになっていますが、芝国際中学校・高等学校の「世界標準の学び」は、以下の点を重視しているようです。
- STEAM教育
- データサイエンスのスキル
- 生徒が自ら動くこと
STEAM教育を実践するローラスとの教育連携
STEAM教育とは、科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術/リベラルアーツ(Art)、数学(Mathematics)の頭文字から名付けられた呼称です。理数系(Science, Technology, Engineering, Mathematics)に、芸術、文化、生活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲の学び(Art,Liberal Arts)を加えた教科等横断的な学習を行う教育のことです。各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていく力を育みます。
すでに東京女子学園中学校高等学校では、STEAM教育に注力するカリキュラムが実施されていますが、新校舎に移転予定のローラスは、STEAM教育に特化したインターナショナルスクールです。ローラスとの教育連携で、さらに充実していくことが期待されます。
読み・書き・データサイエンス
今回の説明会の壇上に立った開校準備室副室長・山崎達雄先生は、その昔いわれた「読み・書き・そろばん」にならって「読み・書き・データサイエンス」と表現していましたが、現在よりもさらに情報が溢れていくであろう未来では、適切なデータ収集・分析・解釈は、必須のスキルとなることは間違いないでしょう。
芝国際中学校・高等学校では、STEAM教育で養われる力のコアに、データサイエンスのスキルを位置づけています。理数系科目だけではなく、教科の枠を超えてデータサイエンスを取り入れた学びが展開されます。
生徒が自ら動くために「敢えて未完成でスタート」
これまでの「型(常識)」が通用しない時代を生きていくためには、自ら考え、動くことが大切。そこで、「型破り」な学校を作ろうとしているようです。
今回の学校改革をリードする開校準備室室長・小野正人先生は、生徒が学校づくりに参加できるよう「敢えて未完成でスタートします」と宣言。その一例が部活動。生徒や受験生から希望を募り、皆で決めていきます。学校Webサイトでも募集します、とのこと。
また、山崎先生の説明によると、中学校の修学旅行は「行き先は決めていません」。学びの目的、日数、積立金額は決まっているので、生徒たちが希望の行き先とプランを考えます。さらには、生徒たちが考えたプランで日数や費用を変更する必要があれば、先生や保護者を説得するプレゼンをするような行動力を育てたい、というのが希望のようです。
アントレプレナーシップ教育で、実際に起業も……?
「よい仕事に就く」「よい会社に入社する」が、充実した人生を保証してくれないことが明らかとなり、将来への不安を感じている方も多いでしょう。
「将来仕事がなくなる? なら、自分で作ればいい!」(小野先生)と、アントレプレナーシップ教育を充実させます。起業に必要な知識とスキルを学び、実際に起業する生徒が出てくるかもしれません。いざとなったら起業できる、という体験を積んでおくことは、卒業後に大きな力となるでしょう。
変革を支える教育基盤
3点目の特色は、120年の歴史を持つ、伝統校の強みです。どんなに理想的な教育理念を語られても、受験生・保護者の皆さんには、実際にどのような人に育つのか、学力は身につくのか、大学進学は大丈夫なのか、という不安はあるでしょう。その点、芝国際中学校・高等学校では、「卒業生が学校に戻ってくる」「コース制で、従来通り確かな学力を育成」という東京女子学園中学校高等学校の実績が、この不安を払拭してくれそうです。
説明会の司会者は卒業生
今回の説明会の司会は、東京女子学園高等学校を卒業し、教員として母校に戻ってきた先生が務めていました。私学に伺うと「この学校の卒業生です」という先生にお会いすることがありますが、生徒が母校に戻ってくるということは、その学校が魅力ある学校であることを物語っています。さらに、今回の司会はとても素晴らしいもので、「このような大人に育ってくれたらよいな」と思わせる説得力がありました。
高校は4コース制で学力養成
STEAM教育の最先端を体験し、世界と社会に通用する人材を育成する「本科」と、海外経験者を対象とし、世界で活躍できるスキルを育てる「国際生」によるコース制を導入し、将来の目標に沿った学力を養成します。
高校は、進路希望を叶える「最難関選抜」「難関選抜」「特別進学」「国際生」の4コース制。最難関選抜コースは、国公立大学、最難関私立大、海外大学への進学を目標とします。難関選抜コースは難関私立大学へ、特別進学コースはGMARCHへの進学を志すコースとなっています。
国際生コースは、ADVANCEDとCOREの2クラス制。ADVANCEDクラスは真のバイリンガルになるよう世界標準のカリキュラムを導入し、英語での授業も行われます。COREクラスは、海外生活で不安な日本語での学びをサポートしながら、国際的な体験を活かして世界で活躍できる英語力を育てていくクラスです。
入試要項は9月1日に正式発表予定
現在発表されている入試要項は以下の通りですが、今後変更となる可能性もあります。正式発表は9月1日予定ですので、必ずご確認ください。
芝国際高等学校 2023年度入学試験 高校一般生
推薦入試 |
一般入試1 |
一般入試2 |
3月入試 |
|
種別 |
推薦 |
単願・併願 |
単願・併願 |
単願 |
日程 |
1月22日 |
2月10日 |
2月12日 |
3月2日 |
判定 |
調査書 |
調査書+加点事由 |
調査書+加点事由 |
英数国 |
定員 |
50名 |
40名 |
10名 |
若干名 |
※英数国は、英検等得点保証あり。
※定員は3コース合計。